原点

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のん気平兵衛の言葉

のん気平兵衛は何ひとつ
定義することができないでいた

   「力あるもの」
と言ったとしても

   その言葉には
 当てはまるものは

存在しないことは分かっていた

 「幸福」
という言葉を
用いることを
 躊躇(ちゅうちょ)したのは

言い当てようとしたものが 
 その実質を
もっているのかどうか

疑わしく あまりに(現実)と
かけ離れていることを
おそれたからだ


そんな 彼が
やがて恐れることなく 
さまざまなことばを用い
世のあらゆることを 
物語るようになった

彼の言葉には力がなく
世の中を動かすことなど
できないことだと
始めからあきらめ その上で
軽口をたたくような具合いに
言葉をもてあそぶことが
できるようになったからだ

ところが不思議なことに
言葉というものを 
軽く使えば使うほど

(人生の本当の重さ)が
見え隠れし始めたのだ

P1070999

○ トピック

この詩は、三生康詩にとって彼の詩だけではなく、超現実派の小説にも通じる内容を含んだ原点中の原点の作品です。
「絶望という名の友人」、「のん気平兵衛の言葉」の2編の詩は、いずれも私の人生と文学の原点に位置する作品と言っていいでしょう。 この二つの詩は掲げた写真の5冊の詩集のうちの「五分間で読める詩集=のん気平兵衛の絶望そして希望」の中に掲載されています。

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