原点

常磐愛線

常磐愛線

収録の短編小説「ファースト・キス」の冒頭

夢の中で昭子が手招きをしている。
夢であることが分かりながら夢を見ているというのも妙だが、昭子に駆け寄って行く気持ちの弾みが隆一にとって快くて、

「ああ、夢なんだなあ」
と自分に確かめながら、その夢が途中で消え去ったりしないように、そのわずかな時間を過ごしている。それほど浅い眠りの中で見た夢は、目覚めてからも現実以上に覚えていて、むしろ現実に電車が利根川の鉄橋を渡る音の方を夢の中の音のように聞いている。

常磐愛線

○ トピック
2000年当時60代となっていた私は、投稿雑誌「ぶんりき」への短編小説を投稿するようになりました。
更にそれらの短編小説をまとめて常陽新聞に2000年1月より4月まで「常磐哀線」として連載する機会に恵まれました。そして同年7月ぶんりき文庫の文庫本として出版しました。

常磐愛線

〇常磐線沿線小説(超現実派)
 「常磐愛線」は、常磐線沿線小説の皮切りにもなりました。
また(沿線小説超現実派)の発想は、川端康成の「伊豆の踊り子」を筆写して思ったことでもありました。(今)という時間の中で読むと、主人公は紺飛白(こんがすり)の着物に袴(はかま)をはき、朴歯(ほうば)の高下駄で天城を登ってきたのだし、下田から日本橋の霊岸島まで船便で、そこから水戸まで行くという老女を上野駅まで送る――、「伊豆の踊り子」こそ(超現実派)常磐線沿線小説のお手本だと思えたのです。

常磐愛線

〇 常磐線沿線小説(超現実派)の広がり

常陽新聞には、「常磐哀線」のあと2000年4月から「天空の交信」という題名の小説を連載しました。
そして、連載終了後、刊行した文庫本に
「天空の交信・常磐線飛んだ」
という題名をつけ、ぶんりき文庫で出版しました。

常磐愛線

そしてぶんりき文庫では続いて
「常磐線ドリーム・いません見っけ!」
を出版しています。

常磐愛線

これで、常磐線沿線小説(超現実派)の流れがはっきりできあがり、引き続き
「常磐線戻り旅・破れた器」
「常磐線のカフカ・変身聖書」
「常磐線の耳仙人」
とシリーズ化していきます。

常磐愛線

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