追伸

詩集 六病息災

詩集 六病息災

 スタート

  人生は母親の
   お腹の中から
  スタートする
  定位置について~
   ヨーイ スタート!
    行きなり 
   こける場合もある
     先天性の
    さまざまな疾患
   発達の早い遅いも
    影響する
   正常に生まれても
    季節性の流行病が
   隙をうかがう
    はしか トビヒ 
    インフルエンザ
   ああ 人間の一生は
    病気とケガの
    オンパレードだ
   無病息災という
    わけには
   いかないものと
     悟った

   幼少期
    熱も出した 
    扁桃腺炎で
     喉を腫らす
    毎冬 
     風邪も引いた
    ケガは年中
   ひざ小僧は
    斬られ与三郎
     のように
    傷の
    絶える間もなかった
   タンコブも
    よく作った
   一番ひどい時は
    脛(すね)を
    垣根囲いのバラセンに
     えぐられた
    ああ 人間の一生は
    病気とケガの
     オンパレードだ
    無病息災という
     わけには
    いかないものと悟った

   青年期 
    大病は
     しなかったが
    年に一度は
     熱を出した
    とても
     長生きするとは
    思っていなかった
    二十歳に
     なるまでは
    間もなく死ぬと
     思って
    過ごした
   しかし齢を
    重ねるに従い
   死ぬ気が
    しなくなった

   壮年期
    酒も
    飲むようになり
   すべてについて
    あまり深く
    考えなくなり
   仕事も
    おもしろくなり
   死ぬ気が
    しなくなった 
   熱も出さなくなり
    体型も変って
    お腹が出始め
   健康診断で
    色んな数値が
     基準値を
    はみ出すように
      なった

   初老期
    早期発見の
     胃ガンと
      診断され
    人生初の
     手術を受けた
    ああ 人間の一生は
     気とケガの
    オンパレードだ
    無病息災という
     わけには
    いかないものと
     悟った 
 
   それから
    それからが
     意外に
    長かった
     胃ガンの手術を
      受けてから
     五年経過し
    歯周病の治療は
     六十年に及び
    不養生の
     つけがきて
    感染症による
     免疫の暴走を
      体験し
     日常生活が
      不自由になる
     そろり状態も
      半年経験した
     その一難が
      過ぎると
     今度は
   前立腺ガンの検診で
     精密検査の
      指示がきた
       MRI
     人間魚雷のような
      カプセルに
       入って
      疑似戦闘を
       やるような
      機銃掃射音に
       さらされ
      検査の受診
       経験もした
      結果は
       致命傷ではない
       らしく まだ
      生きていられる
       らしいが
     ああ 人間の一生は
      病気とケガの
     オンパレードだ
      無病息災
   (むびょうそくさい)
    というわけには
       いかないものと
        悟った

  六病息災
   (むびょうそくさい)

    三十年前に
     会合で出会った
      企業の
      会長さんが
     五病息災という
      言葉を口にした
     あれも これも
      病気という
       名のものを
      身に抱えて
       いるが
      まあまあ 元気
       朝が始まると
        起きて
       新聞を隅から
        隅まで読み
      よし今日も
       生きているぞと
      確かめるの
      ですよ と
    言っておられたのを
       思い出し
      それより
       ひとつ多い
      六病息災
    (むびょうそくさい)
        でも
    これからも 
      なんとか 
     やって行けると
      自分に
     言って聞かせる

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