追伸
〇 紙上ホームページ(最終号)の発行
2021年6月「三生康詩紙上ホームページ(最終号)」が発行されました。
掲載されている詩集「カレイの唄」はこのWebサイトの先頭のスリートップに~全文掲載しましたので~ご笑読ください~
第1号の発行は2008年10月でしたので~13年続いたことになります~
なお、最終号の中で~近況として、Webサイト上での当サイトの完成をお知らせしています。
実は、2枚目のページの写真に掲載しております「近況報告」に書いてありますように~三生康詩のペンネームを用いて執筆しております肉体ある人間が6月前半入院しておりました。しかしながら、言葉遊び(創作)に必要な身体的部分が健在だったため~彼は三生康詩としてベッドの上で五つもの詩集を作り上げてしまいました~葛飾北斉の画狂老人を座右に掲げる彼らしい行動ととらえるべきなのでしょう~
そこで、以下にその特異な状況下で生まれた普段の彼の作風とはちょっと離れた詩2編(全文ノーカット)を掲げておきます。ご笑読下さい~
詩集「恋かしら」
恋かしら
1
恋かしら
これは
恋かしら
いや
そんなわけない
でも
否定ばかりも
していられない
その可能性は
0ではない
いつから
こんな気持ちに
なったのかしら
でも
こんな気持ちと
特定できるほどの
はっきりしたものが
あるのかどうか
でも 確に
心の奥に
これまでの人生で
経験していない
痛みのようなもの
突然込み上げる
激しい喪失感
いや これを
表現するのは
簡単ではない
逆に
舞いあがって
しまいそうに
なるほどの
こころの高揚
2
恋かしら
これは
恋
かしら
いや
そんなわけない
でも
否定ばかりも
していられない
その可能性は
0ではない
山へ行った時の
ことだろうか
いや
海かもしれない
いやもっと
しゃれた都会の
真ん中
ダンスなんて
できはしない
唄なんて
無理
ただ
静かな路上の
カフェテリア
街路樹には
紅葉した葉が
揺れていて風で
舞い降りる一枚が
わたしのテーブルに
その時だった
かもしれない
3
恋かしら
これは
恋
かしら
いや
そんなわけない
でも
否定ばかりも
していられない
その可能性は
0ではない
もうそんな齢では
ないわ
なんて
言う積もりはないわ
齢なんて気にしてないわ
だって
一日は一日
齢なんて
関係ないじゃない
目で観て
耳で聞いて
手で触って
足を踏み鳴らし
たっていいわ
今日を
生きているのよ
わたし
常に前を向いて
もちろん
心に残る傷の
ことは
気にならない
ことはない
きっといつか
面倒見てあげるから
待っていてね
なにしろ
今は
夢中で追いかけてる
ところだから
4
恋かしら
これは
恋
かしら
いや
そんなわけない
でも
否定ばかりも
していられない
その可能性は
0ではない
明日なんて
関係ないわ
今日がわたしのすべて
そんな気持ちで
生きていると
恋なのかもしれない
いや そんなに
単純ではないわ
それは
感受性の問題よ
でもそればかりでは
ないような気もする
誰もいない海を
見ていて
ふと思ったの
かもしれない
ひょっとしたらって
胸が熱くなって
誰かさんの顔が
浮かんで
苦しくなって
浜辺を走り回って
泊まっている
ホテルから
どんどん遠ざかって
岬の先の
灯台のあるところまで
いやそんな
甘いものではない
心はもっと弾んでいた
空を飛んでさえいた
たくさんの星を
飛び越えて
勢いを増した流星群の
一つになって
鋭く消えた
詩集「あなた」
あなた
あなた
アナタ
ANATA
あな~た
あなた
あ~なた
あなた
あなた
あなた~どこ?
それよりも 自分は?
重苦しさか
それとも
息苦しさなのか
はっきりしないもの
いや そうでは
ないのかも
むしろ
柔らかい人肌
ぬくもり
捉えようのない
薄あかりのようなもの
漂っている感じかも…
はっきりしない
周りが敵なのかそれとも
だだのいたずら好きの
気まぐれたちなのか
さえ
見通せていない
2
あなた
アナタ
ANATA
あな~た
あなた
あ~なた
あなた
あなた
あなた~どこ?
それよりも 自分は?
問題はたくさんあり複雑で
難解そのものと思えてしまう
逃げ出したい 放り出したい
それでも解決策が
欲しい気持ち
いやそんな 単純には
型がつけられはしないようにも
何しろ 何が問題で
何が問題ではないのか
とにかく 在り来りのことでは
解決にならないものが
ゴロゴロ
転がっている状態
はっきりしないことが
あふれかえり
海がたゆたうように
揺れている
3
あなた
アナタ
ANATA
あな~た
あなた
あ~なた
あなた
あなた
あなた~どこ?
それよりも 自分は?
空へ逃れたらどうか
それとも
湖の果てに
簡単に逃げ出せるなら
とうの昔にそうする方が
勝っていたに違いない
いまさらそんなこと
できるかしら いや
それどころではない
何しろ すぐにでも
やらなくちゃならない事共が
あふれかえり しかも
何が何であるのさえ
把握できていないし
何がどこにあるのかも
分かっていないのだから
ただゆったりと
揺れていられたら
どんなにか幸せだったろう
あの海に浮かんでいる
ブイのように