広がり
本文より
「あんたも仙人だと言われるのか――。確かに、これまでにない地震を起こさせてまで、わしを招き寄せることができるのは、ただの人間にできることではないが」
「そもそも、わたしの仙人としての淵源(みなもと)は、土にあるのよね。
この世のすべてを貫く原理を、知っているでしょう?
――満ちれば欠ける、欠ければおぎない、修復を図ろうとする。
この原理から、すべてのことは出てくるのよ。宇宙の始まりも、いってみればそのひとつ。今思えば、創造主である神、仏は、自由に飛び回っていたわたしを閉じ込めるために、周りにあらゆるバリオン・物質を集めて、わたしを押し潰そうとした――そうおもっていただくと、分かりが早いわね。その時に加えられた、究極とも言うべき力に閉じ込められ、
あまりの苦しさから我が身を解放しようとしたのは、自然の成り行きね。そうしてわたしの、火事場のばか力ともいうべき反動を呼び覚ました結果、それが起爆剤となって、神や仏が思いもしなかった重力差、濃度差、温度差のゆらぎを引き起こし、ある方からない方への、大移動が始まったのね。それが、宇宙のもとになった、ビッグバンをひき起こしたというわけ――」
○ トピック
はり・せん・ボン(地仙)が、紛争に明け暮れる人間に怒りを爆発させ、戦後の日本に巨人金時を誕生させる。そこから、戦後日本の社会の中での巨人金時の驚嘆すべき行状の物語が展開する。
なお、この作品は、写真の全一巻「キントキ巨人伝説・その驚嘆すべき戦後日本における年代記」(A5版サイズ)としてのほか、「「キントキ巨人伝説・はり・せんの失敗」上中下三部作(文庫本サイズ)としても発行されています。