広がり

絵画のふるさと―小森秀司さんに捧げる

コラボ・詩集 絵画のふるさと―小森秀司さんに捧げる

 小森さんから手紙をいただき、素晴らしい{いのちの画家}(祈りの画家)ともいうべき画業の一端を知ることができました。
同時に小森さんの絵画のふるさと(原点)はどこにあるのかなという思いがつよくなり、小森さんの絵に対する思いを深く知るほどに、わたし自身の詩をコラボさせる{いのちと祈りの}詩集を編みたい気持ちになりました。

竹林(何世代もたくましく根をはるいのち)

   何本もの竹が 
  真っすぐに天に向かって

   伸びている 
  まるで手をつないで

  生えそろったように 
   仲間たちとの

  息の合った様子で
   風にゆっくりと

  上体を揺れ動かしている

  人の目の届きにくい
   地中の奥深くまで

    根を張り巡らし   
    何代にもわたり
   生えそろった竹林の

 老若のすべてのメンバーに
 特設のパイプラインのように
 養分と水分とを送り続ける
  
     春になると
   地中のそこここから

    たけのこたちを
   つぎつぎと生え出さえ

  土のなかにため込んでいた
    いのちの息吹を
    このときとばかり

     ぼくたちに
   誇示して見せるように

   まっすぐ空に向かって
    伸び出させるのだ


   竹林の幽玄なすがたが 
 時の経つのを忘れさせるのは
 きみたちを支えているものが
  平地の里山の山端の大地に
 (きみたちの先祖たちが
   築き上げた)

  地中に巡らした地下茎の
   お陰だからなのだ

  
  何十年何百年もの間
   途絶えることなく

    蓄積してきた
   歴史の土壌のなか

  管理しようとする人間の
    干渉をはねのけ


  たくましく根をはる
    (いのち)


  きみたちの生きざまに
     ぼくは

   何度 手を焼きつつも
   そのたくましさに

   脱帽したことか!


この詩は、絵画展で小森さんの絵を見ての帰り、電車の中で書いたもので、詩集の中でのメインディッシュになっています。

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