広がり

「空飛ぶ電車」三部作

「空飛ぶ電車」三部作

重力波サーフィンで異なる次元の文明間の交信ルートを切り開くなみ・せんの場面
(本文より)

空間――そこに広がっているのは 無 ?
 いや、そうではない。
 もちろんそこは、灯火(あかり)も、目に見えるバリオン(物資)も、存在しない、果てしのない空間である。しかし、感じることができる。そのミクロの世界には、重力波の微細な波となって伝播する量子場のゆらぎが存在する。重力波とよばれる空間のゆがみに
  波乗りグライド(滑空)
を仕掛ける。それは、いつも通りの手慣れた動作であるはずだった。
 しかし、異常な緊張を強いられたのは、ミクロレベルの精妙極まりない重力の波を滑走するという緊張に加え、その空間のゆがみの波裏に存在する、余剰な次元に抜け出すという、それまでに成し遂げたことのないミッションを、果たさなければならなかったからであった。そしてついに、重力波を介しての、異なる次元の文明間の交信ルートを切り開くことに成功したのである。

○ トピック
 なみ・せん・ウェイブ(天仙)が、重力波の波乗りに成功したことで、異次元間の交信が可能となり、異次元文明人が地球上から重力をなくして地球人を宇宙人化(コスモスラーに)する実験を始める。
なお、本作品は、「天空の交信 常磐線飛んだ」として刊行されたものの完結編でもあることから、「空飛ぶ電車Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3部作として発行された後、後年、「天空の交信 常磐線飛んだ1、2、3」の3部作としても発行されている。

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